パネル展示で十分?「国宝 鳥獣戯画のすべて」展を見る

多分まともには見えないだろうなとわかってはいたのですが、
行ったのです。東京国立博物館で開催中の「国宝 鳥獣戯画の
すべて」展。
甲乙丙丁四巻をすべて広げてお見せしますという気前のよさ。
最も人気のある甲巻は、展覧会史上初の動く歩道に乗って鑑賞
するのだそうです。
動く歩道からは甲巻はどう見えるのか、それだけを楽しみに行った
のであります。

で、どうだったかというと、動く歩道に乗るまでが大変だったので
あります。
まず会場の平成館の前で待たされるのであります。退出者に合わせて
20〜30人ずつ入れられるのです。10数分待たされてようやく入った
第一会場は、模本が並ぶコーナーです。模本たって、室町から江戸
時代のちゃんとした絵師の手になるものですから、価値あるものです。
原本が残ってなければ珍重されるのでしょうが、幸か不幸か原本が
残っています。やはり見劣りがするのは否めません。
そこはざっと見終えて本物が待つ部屋へ。
そこは!
動く歩道に乗る人々がつづら折りになって並んでいる!
密も密、超濃密。
その行列の周りには甲巻の主要場面がパネルになって貼られています。
列はカタツムリ並の速度でしか進まないので、見る時間はたっぷり
あります。拡大さているのでよく見えます。これで十分なんじゃないの、
と思ったりしているうちに、動く歩道に乗ることができたのでした。
カタツムリよりは早いが、ワタクシの散歩よりは遅いスピードで
しずしずと運ばれて行きます。
地面、木の根っこ、そして鼻をつまんで後ろ向きにダイブするウサギ君。
闊達な線、洒脱な線、じっくり見たい、と思っても歩道は無感動に進んで
行きます。もっと見たいと思う場面を首を回しながら見ていると、後ろの
人の視線と交錯します。あわてて自分の目の前の場面に戻って・・・
こんなことの繰り返しなんです。で、気がつくともう終点です。
乗っていた時間は1分くらい? 誰にも邪魔されずに見えたのでは
ありますが、おざなりに見たという感じしか残らないのでした。
この後には乙、丙、丁巻が続きます。こちらは自分の足で歩いて見ます。
これらも、平台に張り付いた人の中に入る気にはなれず、ワタクシには
壁に貼られた複製パネルで十分なのでした。

ワタクシにはこの巻物以上に面白かったものがあります。「龍子」です。
タツノオトシゴです。1センチから3センチくらいのものが3体。乾燥
しています。標本です。高山寺で大事に保管されているようです。
そして、有名なあの「子犬」。木彫で玉眼。なんだかちょっと寂しそう。
ご主人が帰ってくるのを持っているのですかね。

というわけでワタクシの結論は、線画の巻物は複製もしくは印刷で十分。

この記事へのコメント

ふじみのの 
2021年04月25日 17:48
ふじみ野の名無しの権兵衛
2021年04月25日 18:07
YouTubeで山田五郎が鳥獣戯画を取り上げています。すでに色んなところで言われている事も多いですが、それはそれで、興味深く見ました。それにしても謎の多い絵巻ですね。正確な由緒来歴が分かってしまうと、何だそんな事だったのかと言う結末になる気もするのだけれど。
板橋亭
2021年04月25日 22:26
権兵衛さん、コメントありがとうございます。
来歴は知りませんが、甲乙丙丁四巻いずれも線の自在さ、造形力の見事さ、
ユーモアセンスの卓越さなど、やはり何度見ても感心しますね。
北斎は丁巻を見て「北斎漫画」を構想したのでは、なんて思ってしまいます。

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